PART.1 自然観察編




・いわゆる羽虫≠ヘバスのサイン

 前の項目で小魚の話が出たので小魚の話から…私はベイトフィッシュ≠ニいう言葉は大嫌いなので使いません。なぜならその言葉の意味合いがただの魚食魚のエサで、喰われるためだけに存在する≠ニ感じられて仕方がないからです。
 実際バスヤラウの多くはその言葉通りに受け止めていますね。その証拠にここのバスは何を食っているか≠ニ聞くとほぼ100%の確立で「当たり前じゃん、ワカサギに決まってる」と言い「そこで泳いでいるのが見える」と自慢げに言う。しかしそこに泳いでいるのはおよそ専門家でも研究員でも目視では判別が困難な年魚(生まれて1年以内のサカナ)≠ナ何を基準にしてワカサギと判断したか理解に苦しみます。試しに右に小魚の写真を載せましたがそれぞれが何というサカナかお分かりでしょうか。
 ワカサギの年魚は産卵床である砂底かジャリ底の水通しのいい場所≠フ隠れる障害物が近くにあるところ≠ノいるのですが、実はそんなところにはモロコ(関東ではあまりいない)やモツゴなどの年魚や成魚、ウグイやオイカワなどの年魚等など実に豊富な魚種がいます。こういった小魚達は採餌行動以外はストラクチャーに身を隠しているものです。

 では小魚達は何を捕食しているのでしょう。「藻でしょ」と言うのは早計過ぎる。もちろんコイ科の一部のサカナは藻も食べますが最も有名なのは金魚の餌でも売っているミジンコを始めとした淡水プランクトンです。元々淡水域の小魚は雑食性のものがほとんどなのでこれらが彼らの常食と思われます。
 しかし小魚達にとって最も栄養価の高い食べ物は昆虫類で、特に水生昆虫は捕食しやすいご馳走なのです。その中でも代表的なものはカゲロウ(蜻蛉)で、幼虫はイワナ・ヤマメからウグイ・オイカワや稚アユなど清流のサカナまでの万能エサとして、成虫は渓流魚のエサとして広く使われ、フライフィッシングではカゲロウの各パターンが数多く編み出されています。

 カゲロウは英語でMayfly(五月の羽虫)≠ニ言うほどですから春から初夏にかけて盛んに羽化が行われます。生息域も山岳地帯から里までと幅広く、朝と夕方に羽化が行われます。俗にはかないものの例えになるカゲロウは羽化してから丸1日でその生命を終えます。産卵を終え絶命するとその死体も小魚達にとっては絶好のご馳走になるのです。
 他にトビゲラ(Caddis)とカワゲラ(Stonefly)もカゲロウ同様幼虫から成虫まで小魚にとって絶好のご馳走になるのですが、ここでは割愛させていただきます。興味のある方はStep Up To Flyfishing≠ナ詳細を解説していますのでそちらをご覧ください。

 さらに比較的キレイな水を好むカゲロウ同様忘れてならないのはオドリバエのようなMidge(ミッジ)≠ナ、オドリバエやコカゲロウなどがその仲間に入りますがここでは主にオドリバエを指します(ミッジの詳細はStep Up To Flyfishing≠ノて)。オドリバエの幼虫はマブナや雑魚釣りでも良く使われるいわゆる赤虫≠ナす。ミッジは富栄養水域、早い話が霞ヶ浦や里の野池などのマッディ・ウォーターでも見受けることができ、バスのいる水域ではこちらの方が多く見受けられます。さらにカゲロウは季節によっては羽化しませんがミッジは周年羽化しているのでバスのいる水域では小魚の格好のご馳走になっています。
カゲロウの写真は うらたんざわ渓流釣場・井上 撮影
 これらのいわゆる羽虫≠フライフサイクルは大体下記の通り(詳細はStep Up To Flyfishing≠ノて)。

幼虫(カゲロウ・カワゲラは川底を這いますがトビゲラ・ミッジは繭を作る) 〜 羽化の準備段階・ここでいわゆるサナギの段階になり水面に向かう 〜 羽化(カゲロウはこの段階では亜成虫≠ニ呼ばれる) 〜 成虫 〜 産卵の後生涯を閉じる

小魚にとって羽化の準備段階から羽化にかけて、産卵の時が絶好の捕食時間となるわけです。特に羽化(Hatch)の段階では羽虫≠ヘ全くの無防備状態となり逃げる事ができません。従って小魚達は水面で狂ったように捕食するのです。この時水面を眺めると雨が降ったように波紋が広がり、ボイル≠ニ呼ばれる現象が目撃できます。

 この状態になると小魚達も完全に無防備な状態になります。言ってみればバスにとっても労せずして栄養価の高いご馳走≠ノありつけるというわけです。前の項でも話しましたが、バスは獲物の群れからはぐれたものから先に攻撃しますのでボイルを見つけたらボイルの周辺≠探るのがセオリーですね。
 カゲロウやトビゲラが羽化しているかどうかを知るには、まずクルマや自販機のライトに飛び込んでくる羽虫に注意してください。
「ここにクルマで蛾がすごくてさぁ…クルマが汚れちゃったよ」
と嫌な顔をするのはバスヤラウがよく言う文句です。これがフライマンになると同じ状況でも
「カディスやメイフライがライトに反応しちゃって寄ってくるんだよ…」
とほくそ笑みます。なぜ嬉しくなるかは、もうお分かりですね。寄っているのは蛾ではなくカゲロウやトビゲラなのです。クルマの虫が当たったところをよく観察してみると、結構原型を留めたカゲロウやトビゲラが観察できます。カゲロウやトビゲラは明るいところへ集まる習性があり、その数が多ければ多いほどハッチの可能性は高く小魚達の活性が高まる事は間違いありません。
 朝マズメ前の自販機に群がる羽虫を見てほくそ笑むようになればあなたも立派な釣りバカです。

 ただし傍から見ていると気持ち悪い奴ですけど…誰も見ていないことを確認してからほくそ笑みましょう。
カでもなければガでもありません カゲロウやトビゲラは光に集まる習性があります
 

 とバスしかやらない人にとっては単なる羽虫も実はここまで密接に関係していることを知って頂きました。次の項ではバスのライズについてお話しましょう。ライズを見極める目を養えばかなり釣果が違ってきます。

 

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