PART.2 ルアーセレクト編
 ・喰わせ≠フ考えは忘れてしまえ

このサカナは正真正銘喰わせ≠ワした…何しろへらぶな釣りですから(エサは両ダンゴ)

 最近特に耳につく言葉が食わせ≠ナす。食わせのワームとか食わせのサスペンドミノーなどの表現がかなり使われていますが、悲しい事に釣れない人は決まって喰わせ≠ニいう表現を使っています。実は食わせ≠ニいう言葉がかなり誤解を与える表現になっていて、そのニュアンスに気づかずにルアー自体を間違ったアプローチで捉えてしまう原因になっているのです。

 元々食わせ≠ニはへらぶなをはじめとしたエサ釣りで使われてきた言葉です。例えばへらぶなでは上針と下針の計2本の針が基本になりますが、上下5cm前後ずらしてセッティングするのが基本です。数多い釣法の中で段差の釣りなどは上針に寄せエサとしてバラケ易い練りエサをセットして、下針にワラビ・グルテン・トロロ・オカメ(角麩)などをセットしてこれに食わせます。上針はいわばコマセの役割をする寄せエサ≠ノ対して下針は獲るための食わせエサ≠ニ呼びます。

 へらぶな釣りの場合元々使っているのがエサなので当然へらは下針に食ってきている≠フは疑いようがありません。しかしバスフィッシングでは本当にルアーをエサだと思って食いついてきているのでしょうか?
 なぜサカナがルアーに食いついてくるのか、という理由は昔から謎なのです。近年では
@捕食目的のために食いついている
A単なる好奇心でちょっかいを出している
(手がないので口を使う)
B自己防衛本能から来る攻撃
(手がないので口で攻撃する)
のいずれかだと考えられています。しかし本当はルアーを何だと思って食ってきたのかを知るにはサカナ自身に聞くしかありません。しかし当然サカナは口がきけませんのでこればかりは永遠の謎といったところですね。
もしもバスが話せたら…顎をつかまれているので話せない
DATA:ブルーフィルター MicrosoftOfficePictureManager にて編集 値:−100 色合い:−46

 これまでハードルアー・ソフトルアーともに動きの特性を見てきましたがそのいずれも自然界に存在しない不自然な動きです。そんな不自然な動きのものを単に捕食の対象と捉えているとは到底思えない、むしろ好奇心∞攻撃≠ニ捉えたほうが納得できる。
 特にソフトルアーはその材質からよく食わせ≠ニいう表現を用いられる場合が多いが、よく考えてみるとたとえノーシンカーでナチュラルに食わせる≠ニ言ってもその動き自体は自然界に存在しないのだからナチュラルでもなければ食わせたと言い切れない。アタリがナチュラルだ∞食わせのアタリだ≠ニ言うかもしれないが、それは単なるこじつけで、アタリが小さい≠セけの話なのです。
 ルアーの場合その存在自体がエサとは違う=不自然≠ナある限りへらぶなのような食わせ≠フ概念は存在しないのです。

 そもそも喰わせ≠ニいう考え方は「ルアー=疑似餌」という解釈が生んだ誤解といえるでしょう。しかしルアーは疑似餌ではありません。

 疑似餌で最も代表的なものは防波堤でアジなどを釣るサビキ≠竭D釣りで使うバケ∞ウィリー≠ナすが、それらはどれもオキアミなどの撒きエサと同化するようにできている。これは単に針にエサを付け直す手間を省くための手段でしかありません。
 同様に渓流フライのようなMatch the Hatch≠フ釣りでは積極的にサカナが捕食しているものを調べ上げ、捕食しているものに極力似せた毛鉤を使用してサカナを釣り上げます。
 しかしルアーはと言うとエサとは似ても似つかない動きでサカナの興味を惹きつけ釣り上げます。つまり疑似餌のようにエサの代用品≠ナはなく独自の道具≠ネのです。では最終的にルアーに食いついている現実を何と表現したらいいのでしょう…

 それはトラウト・特にヤマメのルアーフィッシングとフライフィッシングをやってみれば感覚的にわかることです。
 ヤマメは用心深いサカナで川岸のジャリ音ひとつで警戒して捕食をしなかったり、1回針に引っ掛けると1週間はエサを食わないと言われています。それだけにフライフィッシングでは一発必釣¥oたら絶対掛ける勢いで釣らなければならず、繊細で高度な技術が求められる特別な釣り≠ニされています。しかしルアーで狙ってみると、時間帯によってはいとも簡単に食ってきます。面白い事にフライで出る場合とルアーで出る場合ではその勢いも全く違い、警戒心の塊のようなサカナが釣り人の姿を見つけたとしても一目散にルアーに突進してきます。ただしこれは時間帯によって≠ネので丸1日釣りをするとフライのほうが安定した釣果が得られます。
 ルアーの場合明らかに捕食とは違った何かによって理性を失っていることは明らかです。これは間違いなくリアクションバイト(=反射食い)≠ニ言わざるを得ません。俗にトラウトはリアクションバイトはしないと言われていますが、芦ノ湖ではなぜかスピナーベイトでブラウントラウトがよく釣れることは地元では有名です。私もスピナーベイトを投げてブラウンが列を成して追いかけてきた現場に何度も遭遇しています。ルアーを追いかけるトラウトは他のものには一切目もくれません。これがフライ(もちろんエサ釣りでも)だとここまで理性を失わせることは不可能です。

ヤマメはその慎重さから型よりも釣る事≠ノ価値かあります これが釣れればかなり上級者
サカナはニジマスですが、ルアーの出方はフライやエサ釣りとはまるで違います

 実はこのリアクションバイト≠アそがルアーの本質であり、全てなのです。自然界にない不自然な動きは長年実釣を通して積み重ねられたサカナを誘惑するための要素≠ェデフォルメされたものなのです。実際ルアーでできることは落とす、引っ張る、止める、だけであとはそのスピードを速くするか遅くするしか手段はありません。乱暴な言い方をすればただ引いてくる≠セけしか手段のないルアーフィッシングの歴史はデク人形にサカナを誘惑する要素≠いかにデフォルメさせるかにかかっていました。
 その要素はもちろん今まで散々説明してきた動き≠ニ色≠ネのです。ソフトルアーの場合これに素材≠ニいうものが加わり沈下速度・動きに広がりをつけたのですが、それは飽くまでリアクションバイト≠フために取り入れられていて、決して喰わせ≠フためではないのです。

 蛇足ですが、フライフィッシングでもルアーのようにリアクション≠狙った釣り方が存在します。それがウェット・フライ∞ストリーマー・フライ≠ニいうカテゴリーです。特にリアクションバイト狙いで巻かれたフライパターンはアトラクター・フライ≠ニ呼ばれるのですが、それは皆さんがご存知のリアルな毛鉤とは程遠い、釣れる要素≠ェ集約されたものとなっています。

喰わせ=小さいルアー≠ニいう考えがありますが、それは単にバスが吸い込みやすいサイズ≠ニいうだけの話で、吸い込みやすい状態を比喩的に喰わせ≠ニ表現するならともかく、小さい=喰わせ とするのは根本的に間違っています。結局ルアーフィッシングはリアクションバイト≠セけで釣る釣りなので面白いし難しいのです。
 ある程度バスフィッシングをしているのにどうしても釣れない人の多くはルアーをどうにかして喰わせ≠謔、と必死になっているのが原因なのです。しかしルアーフィッシングは所詮リアクションバイトだけ∞縦のリアクションと横のリアクションだけ≠ニ割り切ってアピールの差≠意識するようになると釣れるようになってしまいます。もちろん全体を見回す自然観察も必要になってきます。
 その詳細については Part.3 実釣編 で触れていきます。

リアクションバイトの良い証拠…スプーンのフラッシングでしっかりバスは釣れます
この往生際の悪さ…良く焼けた地べたに置いたわけでもないのにここまで暴れるのはサカナが興奮しているいい証拠

 ルアーフィッシングにおいて喰わせ≠ニいうものが元々存在しないことは分かっていただけたでしょうか。全く存在しないものに囚われてしまってはせっかく釣れるものも釣れなくなってしまいます。それでも喰わせ≠ニいう表現を使いたがる人は結構いますので、「単に小さいサイズのルアーで小さいアピールで釣っているのだな」と解釈するといいでしょう。

 それでもどうしても喰わせで釣りたいというならモエビかミミズで釣ってください。

 

 ルアーセレクトとはひとえにルアーの特性≠知らなければ成り立たない事を説明してきました。これが分からなければ釣りになりませんが、もう大丈夫ですね。さて次はいよいよ実釣編です。今までのデータをフル活用してもっとバスを釣ってください。

 

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