Column
#002: 本当は危険なサーフキャスト
 サーフキャスト(投げ釣り)は何といっても豪快なキャストが面白い。慣れてくると100m、トーナメンタークラスだと200m近く飛ばしてしまう。リールは他の釣りで使うものと比べてかなりアンバランスな大口径スプールを搭載したリールを使用し、長さの割にガイド数の少ないロッドを使用します。これはスプールからスムーズにラインが出て行き、ガイドの抵抗を少なくする事で飛距離を稼ぐ為なのです。さらに最近では投げ釣りの定番・KAISO天秤を改良したデルナー天秤、さらにデルナー天秤を改良したタングステンデルナー天秤の登場で飛距離はグングン伸びる一方です。
 投げ釣りで狙う魚は主にキスやカレイで、投げて楽しく釣って旨いということもありシーズンになると週末のてんぷらや刺身のネタをを目当てに海岸で竿を振る老若男女で溢れます。
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image photo  しかしこの釣りで事故が多いことは余り知られていません。おそらく釣り=のんびり糸を垂れる≠ニいう漠然としたイメージが油断を招いた結果なのでしょうが、実はサーフキャストの釣りはとても危険な事をご存知でしょうか。一歩間違えると人が死んでしまうほど危険なものなのです。
 サーフキャストで使用するオモリを考えてみましょう。おそらくナツメオモリやナス型・小田原型オモリ、ジェット天秤が最も使用されていおり、飛距離を追求していくとF1や航空機並みに徹底的に空気抵抗軽減を研究したKAISO天秤・デルナー天秤となっていきます。サーフキャストでは20〜30号(75〜112.5g:1号=3.75g)が最も一般的に使われます。
 これらをオモリと紹介すると何の変哲もないただの釣り道具です。しかしこれらを材質から鉛の塊∞鉛ダマ≠ニ呼んだらどうでしょう…なにやら物騒な響きがありますね。
 鉛ダマというとまるでライフルや拳銃の弾みたいですが、理屈は全く同じものなのです。大きな違いはライフルや拳銃のほうが飛距離が出ると言うだけで、威力で言えばむしろサーフキャストのオモリのほうがはるかに高いのです。
 サーフキャストをはじめとした釣りではロッドのしなりを生かして(反発力で)仕掛けやルアーを遠くに飛ばします。この時ロッドにかかる力は相当なもので、そこで蓄えられた力は全てオモリに集約されて飛ぶのです。サーフキャストでは100g前後のオモリを100m以上飛ぶだけの力を発生させるわけですからその力の程がある程度想像できるのではないでしょうか。
 至近距離で全力で打ち込めば鉛のオモリでも乗用車の鉄板くらい突き抜けてしまいます。人間の頭はカボチャと同じ強度だといいますが、これが人間の頭目がけて飛んできたら…考えただけでもゾッとします。
image photo これがデルナー天秤
image photo  近年では強靭な力糸やPEラインの普及によって糸切れは少なくなりましたが、それでも余計な力が入るとキャスト時にラインが切れてしまうことが良くあります。この時あらぬ方向に、よりにもよって隣の人目掛けてオモリが飛んでいったら…
 サーフキャストの際できるだけ隣の人と距離を置いて楽しむことが絶対条件です。左右の釣り人との距離を最低でも2・30m離れ、同行者とは時間差を置いてキャストする事が基本です。もちろん私は絶対にラインを切らない≠ニいう自信があるとしても隣に絶対にラインを切らない人が来る保障などどこにもありません。サーフキャストをする際くれぐれも隣の人と距離を保つ事を忘れないで下さい。
 釣りに行って殺されたり殺人犯になってしまっては楽しいものも楽しくなくなりますからね。
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