Column
#003: ベイトフィッシュ≠ニいう考えが釣りを下手にする
●ベイトフィッシュ=サカナに食われるサカナ
image photo  言葉というものは面白いもので、どうしても1回口に出して言ってみたくて仕方がなくなる響きがあるようです。私が仕事をしていて絶好の場面に出くわしそれをバッチリの構図で撮影できたとする。こんな時私は「カメラの神様が降臨した」というのですが、これを聞いたディレクターやアシスタントはその後必ず1回は「カメラの神様降臨しましたか?」と聞いてくるのです。これは明らかに撮影云々などどうでも良く、単に「カメラの神様降臨」という言葉を使ってみたくて仕方がないから発するのです。もっともこの「カメラの神様」という言葉自体吉本芸人の「笑いの神様」をもじったものなのですが…
 ルアーをやっている連中と話をしていると必ずベイトフィッシュ≠ニいう言葉が口を突いて出てきます。「あそこでベイトフィッシュが跳ねているのが見えて…」「ここはベイトフィッシュが溜まるから…」といった具合ですが、これもカッコづけや通ぶったイヤラシイ気持ちがあるのでしょうが、単に口に出して言いたくて仕方がないのでしょう。
 しかし私はこのベイトフィッシュ≠ニいう言葉は大嫌いで使いません。どうしても魚食魚に喰われるためのエサとしてしか生まれてきた価値のないサカナ≠ニいう響きを感じて仕方がないからです。これらを表現する言葉を使わなければいけないときは、明らかにこの魚が追われていたと手にとって分かる場合はそのサカナの固有名を、わからないときは単に小魚≠ニ表現します。
 このベイトフィッシュ≠ェ指すものはバスの場合ワカサギやオイカワ・ウグイなどを、シーバスの場合イワシやアジなどを、ヒラメに至ってはキスを指す場合もあります。私は子供の頃からこれらのベイトフィッシュ(と敢えて言う)≠釣って楽しんできたので愛着があり、単に他のサカナに食われるためだけに生きていると考えてる事自体が不自然に感じられてしまうのです。
 実はこのベイトフィッシュ≠ニいう考えはあなたの釣りの上達に大きな妨げになっている可能性があるのです。
image photo
●何でもかんでも丼勘定≠ヘ釣りを雑にする
image photo  確かにバスは小魚が大好物です。しかしそれはワカサギでないとダメというものではなくモツゴでもオイカワでもモロコでも腹が減っていれば喰うのです。そういう意味では人括りにしてしまっても良いでしょう。
 しかしベイトフィッシュ≠ニ口に出してまで言うという事は間違いなくそこにいる小魚を意識しており、確実に疑似餌釣りと勘違いしている証拠です。
 その極端な考え方がマッチ・ザ・ベイト≠ナす。目で見える小魚が何であるか陸から眺めて判断するなど研究者や専門家でも不可能に近いほど困難です。実際にそこのバスが何を食っているのか、などストマックポンプで胃の内容物を吸い出すか腹を捌かなければ分かるはずがない。何を食っているのか分からないのにマッチ・ザ・ベイト≠ニは何にマッチさせているのでしょう?
 元々この言葉はフライ用語のMatch the Hatch(Hatch Matching;Maching the Hatchとも言う)≠フパクリです。フライの場合ストマックポンプと言う道具で釣ったサカナの胃の内容物を吸い取りシャーレに移し、そこの魚が何を捕食しているのかを確認してフライをセレクトすると言う方法が一般的に取り入れられています。しかしマッチ・ザ・ベイト≠ヘ単にメーカーのリアルカラーを売りたいがためのデッチ上げに近い売り口上≠ナしかなく、根拠など極めて希薄なものでしかないのです。
 実際サカナがミノーを見て小魚だと思って喰ってきたのか、甚だ疑問の多いところです。というのもまるで小魚がいないようなところでも間違いなくミノーには喰ってきます。ミノーに限らずサカナがルアーに食いついてくるのは
1.魚の食性に訴えている?
2.好奇心がくすぐられて反応している?
3.自己防衛本能から来る攻撃?
と言われていますが、結局のところはサカナに聞かないとわかりません。「そんなモン見れば分かるだろ?この形からサカナだと思って喰いついてきているんだよ」というのはあまりにも人間様の目線で見すぎです。第一リップを生やしたりピンク色や真っ赤なサカナなど存在しない。
 魚の目線に立って物事を考えないといつまでたっても釣れるものではありません。結局どの目線も人間様が中心というドンブリ勘定では見えてくるものも見えてきませんね。
image photo
●雑な仕事は雑な釣果しかもたらさない
image photo  しかし考えてみればバスはサカナも喰えばモエビやカエルも喰う=Bそれはこう考えられないだろうか…バスは動いているものをとりあえず喰ってみる≠ニ。自然界では人間のように3度3度しっかり飯が食える保障などどこにもない。従って喰えるときに喰う≠フではないだろうか。これは自然界では当然な話で一定の時間に一定の量が食えるのは人間くらいなもので野生の生物は常に空腹なのです。
 金魚を飼ったことがある人なら分かる話ですが、金魚は落ちてくるものなら石ころや自分の糞でもとりあえず口に入れてしまいます。そして喰えないと分かるとすぐに吐き出します。これは金魚が近眼という話もありますが、落ちてくるものはとりあえず喰うという条件反射にも見て取れます。実際へらぶなを釣っているとエサが動いているときには反応がありますがエサが止まるとアタリもピタリと止みます。
 バスも同じように動くものをとりあえず喰ってみるとしたらどうでしょう。動くものならたいていは喰えるものなのでとりあえず喰っているとしたら…何となくこのあたりにルアーのキモが隠されているような気がします。
 当然何でもかんでもドンブリ勘定ではこのような想像もできないまま過ごしてしまうでしょうし、せいぜいあのメーカーのルアーは釣れる£度の事しか言えないまま終わってしまいます。これは実にもったいない話で、ルアーフィッシングの楽しみの1/4を確実に放棄してしまっています。
 ルアーをやっていて小魚が跳ねた=ワカサギが追われている∞マッチ・ザ・ベイト∞これは小魚に見えている%凾ネどと人間様中心のドンブリ勘定≠オかできないうちは、本来ならもっと釣れるような人でも、かなり損をしているのでしょうね。何でもかんでもドンブリ勘定しかできない人がひとつひとつを吟味しているわけがないのですから、雑な考え方しかできない人は釣果も雑になるものです。
 もっともただデカイのを釣った=うまい人≠ニしか括れない人はそれでも良いのでしょう。本当にうまい人は絶対にボウズにならない∞狙った魚は絶対に逃さない$lなんですけどね。
image photo
all photographs are reserved by URARYOUSHI