Column
#004:今釣具屋さんが危ない
●欲しいものが手に入らない…
 最近タイイングバイスのジョーというフックを挟む部分がイカレてしまったのを機にミッジジョーに変更しようと思い、早速店に探しに行きました。しかし上州屋やポイントなどの総合量販店は軒並みフライを縮小もしくは撤退、サンスイのような大手プロショップから本来なら痒いところに手の届くはずの小さな町のフライショップではこのような細かい¥、品の在庫はしていない…とりあえず在庫があるのはさいたま市・大宮の吉見屋さん、東京・水道橋のハーミットさん、東京・日暮里のリバーさんと、私の住む横浜から結構な距離にあり、交通費などを考えると割に合わない(モノは5,000円程度)。
 ネットショップ・舶来問屋さんでは3,700円だということは知っていたのですが、結局新しい釣具屋さんのサポート状況などのリサーチを兼ねて神奈川県・相模大野にあるバートンさんでオーダーしてもらい何とか入手しましたが、釣り具バブルの頃には散々見かけたものなだけに癪に障ることこの上ありません。
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image photo  なぜこんな苦労を強いられるのか…理由は簡単、バレーヒルさんがダイナキングの正規輸入代理店を辞めてしまったからです。元々フライの道具はある程度待たなければならないもの(少なくとも関東では)なので覚悟はしていましたが、最近フライに限らず手に入らなくなった釣り道具が増えたとは思いませんか?
 例えば私が愛用しているブローディンのランディングネットはティムコさんが正規代理店でしたが今では取り扱いを辞めています。私が64cmのバスを釣り上げたロボワームも正規代理店がなくなり入手が困難になりつつあります。他にも気がつかないうちに色々な釣り具がなくなっているような…
 反面ラパラやゲーリーヤマモトのような人気ルアーは複数の正規代理店が存在し店舗の広いところではこれでもかとばかりに陳列しています。陳列棚を見ると時代が見える≠ニ言う通りその時の流行り廃りは陳列棚に明確に現れるのは世の常ですが、これまたひどく偏ってきたものです。
 
 
●釣具屋さんがアキバのフィギュアショップの状態に…
 私にとってエコギアのバスルアーが置かれなくなったのは実にキビシイ。釣具屋さんに言わせると「仕入れ単位が多すぎてウチではさばけない」という悲しい理由があるのだそうで、大手量販店でもなかなか置いてくれないのが現状です。
 しかしオールド物やマニア受けするものはなぜか溢れている…もちろんこれは私の住む横浜界隈での話で、特に中小のルアーショップでは良い金になるようで積極的に置くところまで出てきてしまいました。そうなると痩せているか太っているかどちらかの贅肉体質でやたら声のでかいアチラ系の連中で溢れるようになります。見た目も醜いのですが、何より臭いが…おそらくこの前まで釣れるルアーばかり扱っていたようなナイスな店がいつの間にかアキバのフィギュアショップになってしまったところが各地にできているのではないでしょうか。
 当然こんな連中はマトモに釣り≠ネどできるはずもなく、気がつくと私の足は遠のいてしまいます。少なくとも私は釣具屋さんに用があるのでフィギュアショップだかお化け屋敷だかに行くつもりはありませんので。
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image photo  大人が引いてしまうのだから子供に至ってはダダ引きですね。実際メガバスやエバーグリーンが流行りだしたあたりから釣具屋さんで子供を見かけることがなくなってしまったような気がします。良い大人が子供をどやして喜んでいる…そんな大人気ない大人が増えてしまったせいでしょうが、このまま行くと日本の釣り文化は衰退してしまいますね。
 特に深刻に考えなければならないのは中小の釣具屋さん、言い換えれば町の釣具屋さん≠ェどんどん潰れている中でたとえ釣りに使わないと分かっていても売らないことには生きていけない≠ニいう悲しい現実が立ちはだかっているので、まさに閉塞感、釣り文化そのものに危機が訪れている事を感じてしまうのです。
 特に首都圏や大都市圏でこの傾向が顕著に現れていますが、地方都市でも似たような傾向が見受けられるようで、実に忌々しき問題です。よく私が釣具屋を開店したら成功するとおだてられますが、こんな悲しい現実を突きつけられると「やっぱり辞めた」となるのです。
 
 
●これは時代の転換期?
 ダイナキングのミッジジョーを探している時にある釣具屋さんの若いのが「大丈夫、たいていのものなら手に入りますよ」と豪語したのを不審に思い、日を改めて店長に聞いてみたら「…いや、ダイナキングは難しいですよ」との答え。やっぱりね、と思いつつ「でもお宅の若い衆は大丈夫って言ってたよ」というと店長しばし絶句…プロならプロらしく入るものと入らないものくらい把握しておいて欲しいものだ。プロフェッショナル意識が低くなっているのも今の日本の悲しい現実ですね。
 最近私の買い物状況が大きく変わっています。元々手にとって確認しないと気が済まない性質なのですが、近場の釣具屋さんで商品を確認し、ネットで同じものを検索し、ネットショップのほうが安ければそちらに注文を出す。ラパラやエコギア、ラインなどは分かりきっているのでまとめて購入する…実際ネットショップだと家まで届けてくれるしヲタ連中の無様な姿もあの臭いも嗅がないで済むので、よほど信用した店・よほど急いでいるわけでもない限りネットを使うようになりました。
image photo これがデルナー天秤
image photo  これもひとつの時代なのでしょう。
 今後店舗を持つ釣具屋さんはよほど努力しないと厳しいですね。ヲタに占拠された店というのは以前にも限りなく見てきましたが、にわか仕込みで流されてオールド物を扱ったところでやはり長続きしていません。結局は蛇の道はヘビ≠ニいったところですね。どう考えても独自の入手ルートを築いてきた実績も経験もある筋金入りのオールド専門ショップにかなうはずもないのですから。
 やはり実店舗を持った釣具屋さんは釣り場情報を持ってナンボ≠ナ、新鮮な釣り場の情報が手に入らない、または勝手に思い込んだ商品価値を他人に押し付けるような店だと淘汰されていくでしょう。新鮮な情報のお礼に釣具を買って帰るのが実店舗を訪れる客の礼儀となるのでしょう。商品だけが欲しければネットショップで充分なのですから…

 しかしこのスタイルって、昔ながらの町の釣具屋さん≠ナすよね?
 
 
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