Column
#005: バス容認は西高東低
●<外来種規正法>施行の実情
image photo  現在2006年ですが、振り返ると2005年は結構無駄な事に時間を浪費してしまいました。ムダに山口県に出向させられ無駄な金を使わされこちらに戻ってきたら良く分からんがなぜかバスが放流されるエリアで放流が行えないと言う…そこでムキになってバスに執着していたら今度は足腰が弱ってしまった。冷静に考えるとあまり良くない1年でした。
 山口県に関しては土地が気に入らないから戻ったのではなく大人の事情で戻ってきたわけですが、バスに関して言えば大人の事情とかたづけるにしてはあまりにも大きすぎる問題が山積しています。何しろ相手は国家権力な訳ですから…いわゆる<外来種規正法>の悪影響なのですが、机上の空論だけで法整備を行うという暴挙をやらかしてくれたおかげでいい迷惑を被ったところが数多くある、ということです。
 どうも最近「何でもかんでも強引に押し通してしまえば何とかなる」と短絡的な考えが蔓延しているような気がしてなりません。しかしこの考え方はワガママ∞暴君♂ハては独裁≠ノ繋がりかねません。これが1企業内で行われているのならともかく国家単位で行われたら日本の「議会制民主主義」の基本概念を脅かす暴挙としかいいようがありません。
 ユリッペがナチスのシンパと化すかどうかはともかく、バスが<外来種規正法>の対象となったおかげで日本中でバス狩り≠ェ行われている、と思いきやバス駆除が行われている地域は全国規模というわけではありません。
 これが国の暴挙に対する地方公共団体の意思の現われ≠セったら日本もまだまだ捨てたものではありませんが、取材で訪れた山口県某市の市長会見でバス駆除は「財政(ひっ迫の背景)上行わない」というように、どうやら金がないからまず人間様を救うところから≠ニいう切迫した背景から来る事のようです。
 もちろん金がないから≠ニいうのが一番の理由なのでしょうが、民間レベルで話を聞いてみるとむしろ「バスはどんどん釣ってくれ」というのが一般的でした。面白いことに「どうせリリースがなってないから釣れば弱って死ぬ」というのが一般的な考えとして浸透しているのです。もちろん調べたエリアが中国地方の1地域でしかないから西日本全体が完全バス擁護であるとは言い切れませんが、リリースに関する話をかなり深くまで理解しているなどのバスフィッシングに関する理解度≠ヘ西日本のほうが深いようです。
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●<バス駆除>法律の矛盾
 そこへいくと東日本では着々とバス駆除≠ェ実施されているようです。もちろん従来の投網などによる駆除は在来種を巻き込むばかりでなく水底や岸辺の水生植物に決定的なダメージを与えるなどの諸問題を誘発します。それくらいの事は各漁協関係者の皆さんは充分理解しているのですが決定的な解決策が見当たらないと言うのが実情です。
 また東日本には芦ノ湖・河口湖・山中湖・相模湖・津久井湖といったバスを魚種認定≠オている湖沼が結構あり、霞ヶ浦・八郎潟など魚種認定している湖沼にバスを売って潤っている£c体が結構あります。これが<外来種規正法>によって流通が妨害されるという困った事態が起こってしまったのです。従来の法律に従って保護の対象としたら今度は別の法律のおかげで規制されてしまった、という矛盾が生じてしまったのです。
 言ってみれば「この道は特別に時速80kmまで出してもいいですが、走ったら死刑」と法整備がなされたようなもので、たががサカナ≠ノ対してすらマトモな法整備ができない連中に人間様の憲法改正をマトモに法整備できるだけ成熟しているかといえば甚だ疑問ですね。
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image photo  日本の政治家の成熟度はともかく、結局バスを魚種認定した湖沼は国にバス移植に関する特別許可≠申請するという2度手間を取らされるハメになりました。動作がのろいのは日本の行政のお約束で、結局河口湖などではシーズンが終わってようやく本格的な放流が行われました。ユリッペは放流できずに収益が落ちた漁協に対して損害を補填してくれるのだろうか、と人事ながら心配になってしまいます。
 それにしても同じ日本でありながら西日本と東日本では状況が違うようです。もちろんバスフィッシングに対する理解度の違いもあるのでしょうし財政面での収益の差もあるのでしょうが、東日本には漁協の立場で考えてみると「なるほど、少しは行動に出さないと仕方がないかもしれない」という状況が推測できます。
 内水面の漁協では夏のアユ釣りでの収益が大きくバス駆除≠叫ぶ地域ではほとんどが「アユを保護したい」という本音があります。もちろんアユ釣りは東日本のみならず西日本でも盛んですのでこれが東と西の格差を生んでいるとは考えづらい。東日本に多く生息して西日本の生息は少ない、漁協の収益に大きく貢献するものがあればこのような格差≠熹[得が行くのですが…
 
 
●東日本がバスに厳しい理由
image photo  格差を生んだのはトラウトでした。ヤマメは沖縄と九州一部を除く日本全国に広く分布していますが、生息域の総面積で考えると圧倒的に標高の高い地域の多い東日本に広く生息しています。加えて北方に向かえば向かうほどトラウトに適した環境が整います。それだけに東北に行くとヤマメやイワナの魚影がやたらと濃くなり、本流ではサクラマス(ヤマメの降海型)が頻繁に見受けられます。山形県の県魚はサクラマスで、マス族が事の外身近なサカナであるいい証拠です。
 当然これだけの豊富なトラウトは釣りの格好の対象となり、漁協としては確実に収益を上げることができるありがたい存在です。当然盛んに放流を行い魚種を維持して行くことが漁協の仕事となります。アユのシーズンがせいぜい2・3ヶ月としてもトラウトは6ヶ月なので、安定した収益を上げる上でトラウトは欠かせない重要な収入減となるのです。
 もし仮に万が一にも、トラウトの生息域が脅かされて数を減らすような事になったら…東日本の内水面漁協が被る損失は計り知れないものになってしまうというわけです。
 福島県の桧原湖は、今でこそスモールマウスの釣り場と知られていますが、元々は大イワナが釣れる聖地として広く知られていました。当然漁協としては「イワナで生計を立てていたわけですがいきなりスモールマウスというわけのわからんサカナのおかげでイワナは数を減らし収益が減る」とあってはひとたまりもありません。もちろんバスの生態や経済効果を考えて計画放流≠すれば道が開けるのですが、それまでの生計が脅かされるとなったら冷静でいられなくなるのが人情です。生計を立てるために調整を取らなければならない立場にいたとしたらなおさらです。
 脅威となるものに対してそれなりの対策を講じなければならないのが管理者の責任なので駆除≠ニいう手段をとらざるを得ない、というわけでトラウトが生息している地域では特にバス駆除≠ノ躍起になる、というわけです。反面西日本では比較易マイナーなトラウトフィッシングは漁協の大きな収益にはならない、というわけで、一時的にはバス駆除≠ェ行われたものの、危機感に東日本と温度差が生じているのではないでしょうか。
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●<西高東低>以前の問題
image photo  さらにバス擁護西高東低≠フ意識を生む要素があります。それがワカサギ≠フ存在です。元々ワカサギは千葉県と島根県を直線で結んだ線より北にしか生息していませんでした。これが美味であることから釣りの対象魚として日本中に移植されたわけですが、当然古くから親しまれている従来の生息域のほうが盛んに釣りが行われています。
 話は少し脱線しますが、山口県の豊田湖ではワカサギを釣るのにコマセを撒きます…これは他の地域では全く見られない釣法です。ワカサギの絶対数が少ないのか単にガメツイのかとも思ったのですが、仕掛けが堤防でのイワシ釣りのものに酷似しているのでおそらくイワシの仕掛けを流用したのがそのまま定着したのでしょう。
 近年では定着しつつあるようですが、まだまだワカサギ釣りは琵琶湖などの一部地域を除いた西日本全体ではメジャーな存在ではないようです。反面東日本では「冬の風物詩」として広く親しまれていて、専門の仕掛けが編み出され氷結釣り≠ニいう独自のスタイルが親しまれています。
 漁協の立場で考えるとワカサギ釣りは冬の貴重な収入源になります。ご存知の通り「バスはワカサギを食い尽くす」という噂が一般的に広まりましたが、管理する側としてみれば疑わしいものに対して何らかの対策を講じなければならない≠フでバス駆除を実施しなければならないようです。
 以上の事は私の推測の域を出ませんが、西日本でもタナゴの生態などの問題もあり西日本全体がバス擁護に回っているわけではありません。しかし確実に東日本との温度差がありバス容認に関しては<西高東低>であるのが現状です。おそらく温暖な気候がバスの生息に適していて漁協がバスによって潤っている、というケースもあるのでしょう。
 いずれにしても今まで述べてきたことは全て人間様の勝手な都合で述べているので当事者であるサカナにとっては勝手に移動させられたり殺されたり保護されたり≠ナ迷惑この上ない話です。また考え方によってはたかがサカナに何をムキになっているんだ、守るだ殺すだなどと…≠ニなるわけですが、本腰を入れて徹底的な調査・研究を重ねマトモに話し合えば解決策も見出せそうなものです。しかし「そんな事に使う無駄な時間も予算もない」と短絡的に大量虐殺に走るという事はそれだけサカナの住環境ばかりでなく人間の心にも健全な環境が少なくなっているということなのでしょうか…
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