Column
#011:「釣り歴○○年」ほどアテにならないものはない
●例えば釣り歴3年の人がいたとする
 時に「俺は釣り歴20年以上のベテランだから…」と前置きを置いて話し始めたり、話が食い違って「おまえ、釣り歴何年だ?」と聞いてくる人がいます。あるいは「俺、釣り歴浅いから…」と卑屈になる人がいます。後者はへりくだった謙虚な態度なので大変結構なことです(行き過ぎはどうかと思います)が、果たして釣り歴○○年というものがどこまでアテになるものなのでしょうか…
 実際ウソをついて本当は釣り歴1年としても「10年やってます」と言い張ってしまえば誰も真偽を確認する事は出来ません。ウソをつくのはその人の良心によるところなのでその人が人として落ちる所まで落ちていれば何を言ってもムダです。要するに真偽のほどはその人の人間性によるところ、ということです。
 その人が人間のクズかどうかはともかく、その人が本当の事を言っているとしましょう。本当の事を言っていればアテになるのかというと、実はこれもアテにならない情報でしかなかったりします。例えば同い年で同じ所に住む同じ釣りをしている釣り歴3年の人がふたりいたとして考えましょう…
image photo
 
image photo  釣り歴がアテになる話しだとしたら、このふたりはどちらも同じ釣り歴なのですから、どちらも同じような腕前となるはずです。しかし実際にはAさんはとことん釣りにハマって休みの日はもちろん朝会社に行く前に毎日2時間釣りをしているうえ雨が降ろうが風が強かろうが毎日釣りをしてきたが、Bさんは1週間に1回釣りをしていて少しでも天気が崩れたら釣りに出かけないという釣りしかしなかったとします。こうなると同じ釣り歴でもAさんは1年で365釣行をしているので1年で50釣行に満たないBさんより確実に釣りはうまくなります。これが3年分の蓄積となるとAさんは1095釣行になり、Bさんの140日前後の釣行と大きく差が開きます。
 ここまで差が開いてしまえば嫌でもAさんはBさんどころか週末だけ釣りをしている釣り歴10年(週2日欠かさず釣りをしていても1000日に満たない)の人よりうまくなってしまいます。これだけのことでいとも簡単に釣り歴○○年という基準そのものは崩壊してしまいますね。


●あれこれ釣るかひとつの釣りに執着するかでも変わってくる
image photo  同じ釣りをしているという大前提で考えてみましたが、これが乗合船で釣りをしている人とオカッパリだけで釣りをしている人と比べるとこれまた内容が変わってきます。
 乗合船だと(もちろん仕立て船も)全て船頭さんの指示に従って釣りをしなければならないので、言ってしまえば船頭さんに釣らせてもらっている£゙りをしているということになります。反面オカッパリだけで釣りをしていれば自分でサカナの居所を見つけなければならず、まさに自力で釣り上げなければならない≠ニいうことになり、乗合船で釣りをしている人とは比べものにならないくらい釣りの腕に差ができます(このあたりの話はコラム#010で話しているので割愛します)。
 また同じ乗合船でも小物から大物まで幅広く釣りをする人と「俺はマダイしか狙わん!」という人でも大きな差がつきます。サカナが違えばタナ(泳層)が違えばヒットした後の暴れ方も違ってきます。当然色々なやり取りをしている人のほうがひとつの釣りに執着しているよりやり取りのバリエーションを覚え、どう見てもうまい人≠ノなります。
 
 実際私も子供の頃から釣りをしていますが、子供と定年退職をしてから初めて竿を持った人では、同じ釣りを同じ年月続けているとしても、明らかに子供のほうが釣りがうまいものです。何しろ定年退職した人は思考が常識や自尊心などで凝り固まってしまう上にそれまでの人生で脳を酷使してきた反面子供には変な先入観や自尊心がない上脳ミソそのものがフレッシュです…こればかりはどんなに頑張っても若いモンにはかなわん、ということです。
 さらに、私が経験した事ですが、ほぼ同じ時に釣りを始めたバカデブ奴はキャストひとつ覚えるのに9年掛かり、ラインひとつ結ぶのに小1時間かかるというダメ人間ぶり驚くほどのドン臭さ…奴はようやく釣りをやめてくれましたが、それでも足掛け10年掛けていたのですから正真正銘のバカです。このダメ人間こいつが教えてくれる事は「人間には一人ひとり向き不向き≠ェあって、向いていない奴はどんなに時間をかけてもダメ」ということです。何でもかんでも時間をかければどうにかなる、と思ったら大間違いです。最近ではとりあえず強引に開き直ってゴリ押しすれば何とかなる≠ニいう風潮にあるようですが、己を知って潔く諦める散り際≠知るのも肝心です。
image photo


●「釣り歴○○年」をひけらかす人は、レッテル・コンプレックスの塊り
 無能な奴のダメ人間ぶりはともかく、「釣り歴○○年」という肩書きがいかに使い物にならない脆弱な基準であるかはご理解いただけたことでしょう。それでも「おまえ、釣り歴何年だ?」と言いたがる輩についてトドメの1発を…
 状況は変わりますが、このHP内「今週のうらたん情報」で掲載している写真がテレビ・カメラマンをしている私が撮っています≠ニいえば大方の人は「さすが、キレイな写真ですねぇ」とコロッと引っかかる(本当はうらたん管理人・井上さんが取っています)。これが小学1年生の甥が撮った写真でも「私が撮りました」というとコロッと引っかかる…そんなバカな、な話ですが多くの人はレッテル(肩書き)にはとても弱いようです。
 もしあなたにバス・プロ(そのようなものがあれば、の話ですが)≠ニかメーカーのテスター≠ニいう肩書きがあれば「おまえ、釣り歴何年だ?」という奴らはコロッと従順な犬になってしまいます。威張りたいけど実績もなければ肩書きがない、そんなセコイ人はとかく「釣り歴○○年」と強引なレッテルをひけらかしたくなるようです。
image photo
 
image photo  レッテルだけで多くの人をごまかす事ができても分かっている人が見ればハッタリなどすぐに見破られてしまいます。本当にうまい人は見ているだけでも気持ちがいいですし「うまいなぁ…」と感じてしまうものです。全くのヘタクソがどんなに虚勢を張っても傍から見たら「ヘタクソはヘタクソ」ということです。何でもかんでも虚勢を張って強引に押し通せば通用すると思ったら大間違い、ということですね。
 実際私は「釣り歴○○年」と言われてもアテにはしていません。何しろそういう奴に限って話をしている段階で底の浅さが見透かせてしまうほどたいしたことない奴がほとんどですから。そんな奴に出くわしたらどうするか、と言えば…黙って話を聞き流して「くだらねえ奴だなぁ…」と軽蔑します。
 そうやって聞き流している人は絶対に私だけではないはずです。それが気にならない、と言う図太い人であれば「釣り歴○○年」とひけらかすのも結構ですが、「俺ってセコイ、小さい人間なんだ♪」とひけらかしているのと同じなので私はお勧めする行為ではありません。


all photographs are reserved by URARYOUSHI