Home/ Top/ Contact
 



 
 
Concept top
 
・きっかけは “欲しいロッドが、ない!”

連続するボサ、川を守るように覆い被さるオーバーハング、行く手を阻む巨大な岩々…その先には確実に奴はいる。
奴はルアーにもエサにも見向きもしない、ドライ・フライ1発勝負…しかしロッドが長すぎてキャストもままならない。川岸のボサに引っ掛け、奴に気配を悟られ、臍を噛む。そして思う、「もっと短いフライ・ロッドがあれば…」と。
 
ところがメーカーで用意しているのは6ftがほとんどで、マトモに使える5ftなんてひとつもない。釣り具屋によっては「そんなマニアックなロッドなんか、置いてねえ!」と逆切れされる始末。ストレスを我慢して使えといわんばかりで何の解決にもなりゃしない。

ないなら作ってしまえ
こうして誕生した5ftロッド試作機を、素材を変え試行錯誤を加えて完成したのが 6角バンブー・5ft00inの PENAUNPET。
1本作ると他のロッドでも改良を加えたくなってくる。テーパーをいじり、ロッド・レングスをいじり、使いやすいパーツを厳選し…ロッドのバリエーションが増えていった。さらに「ルアーでも」とついにはフライの枠を超えた竿作りにどっぷりとはまる。

実釣経験から改良を加え、いじり倒したロッドを作る…だから工房でもなくクラフトショップでもない、“Custom Shop”を名乗るのです。

 
・ブランクの “素の性能” を損なわない塗装

グラファイトには“アンサンド”というフィニッシュがある。一切塗装を施さない大胆な手法だ。これはグラファイトの特性を損なわないために採用される手法だが、何も塗っていないのだからブランクに傷がつきやすく、その傷が元で折れやすい。「折れる竿なんか、使えねえ!」…これが釣り人の包み隠さない“本音”ではなかろうか。
塗装の事を考えていたら、Fenderギターの“ニトロセルロース・ラッカー・フィニッシュ”を思い出した。ギターも塗料の原料と皮膜の厚さで、同じモデルのギターでもまるで別物の音質になってしまう。
薄く仕上げる事のできる特性から当初この“ニトロセルロース・ラッカー”の採用を考えていたが、擦れに非常に脆い性格である事から不採用。そこでニトロセルロース・ラッカー並みに薄く仕上げる事ができる強靭な塗料はないか、と様々な塗料を探して、探して、探し回った。
 
そしてついに理想の塗料に巡り会った。それは意外な事に太古の昔からこの日本に存在していた。それが“”で、他のあらゆる塗料より極薄で強靭な皮膜を確保する事できます。その強靭さは縄文時代前期の遺跡から漆器が出土している事から歴史が証明している。

ブランクに刷毛で漆を施し、これを和紙で拭き取る…「摺り漆」「拭き漆」で知られる漆芸手法は漆をギリギリの薄さで塗り込む事ができる“業”で、和竿ではごく当たり前に施されています。この手法で最低10回重ね塗りを施して他に類を見ない強靭さを確保する。これがURARYOUSHI Custom Shop が辿り着いたロッド・フィニッシュの基本作業です。

薄さと強靭さだけで採用した漆は、予想外の効果をもたらす事になったのです。

 
・漆が与える新次元のテーパー/アクション

極薄な皮膜はミクロ単位…塗り方によってはバンブーの表面の繊維まで感じるほど薄く仕上げる事ができる。
それだけに他の塗料では絶対に再現不可能な、それまでのバンブーの先入観をも覆してしまうような「使い心地」をもたらす事になる。
 
例えばしなやかさを追求したヤマメ専用ロッド “ICANKOT” では、やもするとただペナンペナンなだけでレスポンスの悪い“腰の抜けた”ロッドになりがちなストロー・フィニッシュに漆を施す事で「ネイキッド・ブランクと遜色のない」仕上がり…ネイキッド・ブランクのような1本芯が残ったような張りを感じながらしなやかなロッドに仕上がります。

加えて漆は一旦固着すると酸やアルカリにも強く、塗り直しはいかなる剥離材も通用しないので削り取るしかないほど。熱にも強く反りやネジレが発生した場合でも直接アイロンを掛ける事も十分可能。極めつけは自然素材で漆自体が通気性があり(漆芸家は“呼吸をする”と言う)反りの原因となる水分を封じ込めない。

強烈にブランクを保護してその動きを封じ込めないしなやかな皮膜はメンテナンスフリーと言えるほど優秀で、まさにロッド向けの皮膜と言える。

俗に「漆は扱いが大変」と言われるが、それは代用漆や新うるし等の偽者うるしに限った話。本物の漆は比べ物にならないくらい強靭なんです。

 
・漆はフライ・フィッシャーの理想を叶える塗料

単に薄さと強靭さから採用した漆ですが、単にそれっぽい雰囲気を求めたり、華美な装飾で価格を吊り上げるため、或いはここまでの極薄皮膜を求めないのであれば偽者のうるしでも充分代用として務まる。
しかし樹脂系化学塗料である偽者のうるしは他の化学塗料同様ダイオキシンを含む数々の有害物質を含有している。その中には水溶性の有害物質も多数含まれており、水に漬けただけで環境を徐々に確実に汚染していく。自然を愛するが故にフライ・フィッシングにのめり込むフライ・フィッシャーにとって気づかずに愛するものを傷つけていくという皮肉な悪循環をもたらしてしまう。
 
対して本物の漆は漆の樹液から不純物を取り除き加熱したもの(生漆)とそれに植物油を加えたもの(透漆)のみなので有害物質は一切混入されない“奇跡の塗料”。どんなに見た目が似通っていてもその本質を追求していくと全くの別物で、当然の事ながら偽者のうるしではこの本質まで真似できるものではない。

塗料に含まれる有害物質が釣り人ひとり当たり排出する量は非常に微弱だが、それを多数に売ってしまえば排出される有害物質の量はもはや無視できないレベルに達してしまう。そんな塗料を使用したら結局自然破壊に加担させる共犯者となってしまう…

単に皮膜の薄さと強靭さだけを理由に採用した漆の思わぬ副産物でしたが、環境に一切のダメージを与えない漆は、まさにフライ・フィッシャーにとって理想の塗料なのです。
 
Copyright (C) 2008 URARYOUSHI All Rights Reserved Home/ Top/ Contact